大腸内視鏡検査をうける患者さんが一番知りたいことではないでしょうか?
この問いに対して私は「やはりご想像通り結構大変です」。とお答えしています。
幸い、最近は思ったより大変ではなかったという方もいらっしゃいますが。
では何が大変なのでしょうか。なんといっても時間がかかります。検査自体は20分から40分くらいですが、検査のための準備に時間がかかります。大腸内視鏡はお尻からファイバーを挿入して大腸を診るのですが、もともと大腸にはたくさんの便があります。その便を全て洗いす必要があり、そのために腸管洗浄液という便を洗い流す水を飲んでもらうのですがその量が約1500ccで2時間位で飲んでいただくことになります。正直言ってあまりおいしいものではありません。検査を受けた方の多くが検査自体よりも腸管洗浄液を飲むのがつらかったとおっしゃられます。
心配されている検査自体ですが、うわさよりましかなと考えています。
もちろんですが、検査時の苦痛は検査をする医師の技量と関係があり、上手く挿入できれば痛みは少なくできます。上手い挿入というのは内視鏡を挿入する時にいかに大腸の壁を内視鏡が押さないようにするかなんですが、これが結構難しいです。グネグネ曲がった大腸にまっすぐな内視鏡が入って行くのですから当然無理が所々であります。
正直なところの私自身のレベルですが、患者さんには中の上ぐらいと伝えています。この2、3年で自分自身としては少しうまくなったと思っているのですが、逆に前回より痛かったとおっしゃる患者さんもいらっしゃるので難しいものです。
大体ですが、現時点の当院のレベルは
大腸の壁を押さずに挿入できる人、すなわちまったく痛くない方が2割位 - 神の手を持つといわれる先生方はこの挿入法で9割以上可能と言っておられます。残念ながら私は神の手を持っておりません。
大腸の壁に内視鏡が少し当たるが強い痛みが出る前に修整しながら挿入できる、すなわち痛みが時々あるけど強い痛みはない方が7割位
残りの1割は下腹部の手術歴があったり、腸の蛇行が強かったり、大腸壁への刺激にすごく過敏な方で私のレベルではテクニックを駆使しても痛みを感じることなく挿入できることはありません。その時は鎮痛剤を増やしたりして何とか挿入しています。
それから検査中に麻酔はしていただけますかとよく聞かれるのですが、当院では少量の鎮痛剤、鎮静剤を使って意識下鎮静法という常に意識のある状態で検査を行っています。ですから検査中も会話ができますし、ご自身の腸の中を見ることもできます。検査中に意識があるというのが鎮痛剤・鎮静剤を使う上で一番安全なのです。
最後にこれがもっとも大事なことです。
ではなぜ私はそんな苦労を強いてまで大腸内視鏡検査を勧めるのでしょうか?
それは大腸癌は確実に増えてきています。
しかし、大腸癌は早く見つかれば治る癌です。大腸癌で死ぬのはもったいないと考えているからです。